マット・カッツの30日間チャレンジ (TEDTalks)

Matt Cutts / 青木靖 訳
2011年3月

何年か前のことですが、どうもマンネリになっていると感じて、アメリカの偉大な思想家であるモーガン・スパーロックにならい、何か新しいことを30日間試してみることにしました。アイデアはいたって簡単です。自分の人生に加えたいといつも思っていたことを取り上げ、それを30日間試しにやってみるのです。やってみてわかるのは、30日というのが、新しい習慣を身に付けたり、ニュースを見るといった何かの習慣を絶つのに、ちょうど良い長さだということです。

30日間チャレンジから学んだことがいろいろあります。第一に、月日がいつの間にか過ぎ去っていくかわりに、ずっと記憶に残るようになります。(木を見上げて撮った白黒写真)1ヶ月毎日写真を撮るチャレンジで撮った1枚です。その日どこにいて何をしていたのか、私ははっきり覚えています。もうひとつ気づいたのは、困難な30日間チャレンジをやる中で自分に対する自信がついたということです。出不精のコンピュータオタクが、楽しみのため会社に自転車で行くような人間へと変わったのです。去年などは、アフリカの最高峰キリマンジャロに登りさえしました。30日間チャレンジをやる前はまったく冒険するようなタイプではなかったのに。

何かを本気でやりたいと思うなら、30日間で何だってできるとわかりました。小説を書いてみたいと思ったことは? 毎年11月に、何万人もの人が30日間で5万語の小説を一から書こうと挑戦しています。実際やらなければならないのは、ただ毎日1,667語を30日間書くことだけです。だからやってみました。ちなみにコツは、その日のノルマを書くまでは寝ないということです。睡眠不足になるかもしれませんが小説を書き上げられます。それでアメリカが誇る傑作小説ができたのでしょうか? まさか! たった一月で書いたんです。ひどい出来です。でも私は今後の人生で、TEDのパーティでジョン・ホッジマンに会ったようなとき、もうこんな風に言わなくていいんです。「コンピュータの仕事をしています」。だって「小説家です」と言えるんですから。(笑)

最後にもうひとつ言いたいのは、小さな持続可能な変化であれば、続けられることをするなら、それは身につくということです。大きな並外れたチャレンジというのも悪くはありません。きっとすごく楽しいことでしょう。でも身につきません。私が30日間砂糖を断ったとき、31日目はこんな風でした。(お菓子の山の写真—笑)

私が皆さんにお聞きしたいのは、「何を待っているの?」ということです。好むと好まざると次の30日間は過ぎていくのです。そうであれば、ずっとやりたかったことを試しにやってみましょうよ、次の30日間で。

ありがとうございました。

(拍手)

 

[これはTED公式日本語訳です。翻訳をレビューしていただいたHidetoshi Yamauchi氏に感謝します。]

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オリジナル: Matt Cutts: Try something new for 30 days