Web 2.0ユーザ作成コンテンツ 市民ジャーナリズム ロングテール ソーシャルメディアサイト構築費12,107.09ドルの内訳

Guy Kawasaki / 青木靖 訳
2007年6月3日

Truemorsのおかげで、この「Web 2.0」の時代に会社を立ち上げることについて多くを学ぶことができた。 「数字で見た」概要を以下に示そう。

  1. 0個。ビジネスプランは全然書いていない。プランは簡単なもので、数ヶ月でサイトを立ち上げ、人々が気に入るか見て、広告とスポンサーを募るというものだ。
  2. 0社。ベンチャーキャピタルへの売込みはしていない。クレジットカードレベルの負債で立ち上げる方が、話はずっと簡単になる。
  3. 7.5週。truemors.comのドメインを登録してからサービス開始までの時間は7.5週間だった。オープンソースとWord Pressのおかげで楽にやることができた。
  4. 4,500ドル。ソフトウェアの開発に要したコストは4,500ドルだった。Electric Pulpの連中がやってくれた。正直なところ、製品のバージョン1をいっしょにやってみるまで、地理的に分散したチームでの開発というのを信じてなかったが、Electric Pulpが私の考えを変えてくれた。
  5. 4,824.14ドル。弁護士の費用は4,824.14ドルだった。離婚専門の弁護士をしている叔父に頼んで数千ドル節約することもできたが、Truemorsがそれなりの価値を持つようになったなら、それは近視眼だったということになるだろう。
  6. 399ドル。ロゴをデザインしてもらうのにLogoWorksに399ドル払った。HPがこの会社を買い取る前の話だ。今だったらいくら取られるかわからない:-)
  7. 1,115.05ドル。ドメイン登録に1,115.05ドル出した。GoDaddyを使っていればずっと安く済んだが、私は愚かで怠け者なのだ。
  8. 55個。ドメインは55個登録した(たとえばtruemors.net、.de、.biz、truemoursなどなど)。実際に使うものを「囲い込む 」ためにこんなにたくさんのドメインを取る必要が本当にあるのかわからない。もっと減らして費用を削ることもできるだろうが、Truemorsが成功したとき不法占有者からドメインを取り上げるために法的手段に訴えるコストを考えれば、数百ドルの節約など誰が気にかけるだろう?
  9. 12,107.09ドル。Truemorsをローンチするためにトータルで12,107.09ドル使った。ドットコムの時代には、バカなアイデアを試すために起業家は500万ドル集める必要があった。今ならそれが12,107.09ドルで済むことが証明できたわけだ。
  10. 1.5人。Truemorsにはフルタイム相当の社員が1.5人いる。私にとっては好きでする仕事だ。
  11. 3回。TechCrunchはTruemorsを3度取り上げた。最初のリークと、スクリーンショット付きのリークと、オープニングの時だ。これが私の企みだったと言えるくらい自分が抜け目なかったならと思う。マイケル・アーリントンは私を追いかけるつもりらしい。続けて、マイケル!
  12. 261,214ビュー。驚いたことに、初日に261,214ページビューがあった。
  13. 14,052人。驚いたことに、初日に14,052人の訪問者があった。
  14. 0ドル。Truemorsの立ち上げでマーケティングにかけた費用は0ドルだ。
  15. 24年。しかし0ドルのマーケティングで会社を立ち上げられるところまで来るのには、24年に渡るだべりと 「ペイ・フォワード」を要した。「Truemorsがこんなにも取り上げられている唯一の理由は、それがGuyのサイトだからだ」と多くのブロガーが怒っているが、これに対する私の返答は、 「君は自明な事実をよく把握しているね」ということだ。
  16. 405件。他にすることがなかったのか、初日に405件のポストがあった。
  17. 218件。その405件のポストのうちの218件は削除した。ゴミやスパムや不適切なものや、単にくだらない内容だったためだ。興味深いことに、ブロガーの半数はこのサイトがゴミだらけだと不平を書いており、後の半分は私がポストを削除したことに不平を書いている :-)
  18. 3時間。サイトがハックされるのにたった3時間しかかからなかった。それで一時的に閉鎖する必要があった。これにはとても印象を受けた。このハッカーは次のウォズになるかもしれない。君がその人なら連絡してほしい。
  19. 36時間。サイトのトラフィックがYahoo! Small Businessに適切でないと通知を受けるのに36時間しかかからなかった。
  20. 29.96ドル。我々の損益分岐点は、Yahoo!に払う月29.96ドルだった。
  21. 150ドル。Yahoo!に追い立てられて、損益分岐点は5倍の月150ドルになった。あなたが月151ドルのスポンサーを引き受けてくれるなら、Truemorsは収益を上げられる :-)
  22. 2日。ほんの2日でTruemorsはInquirerから「史上最悪のWebサイト」と呼ばれることになった。
  23. 246,210ビュー。Inquirerのおかげで246,210ページビューがあった。その通り。まずいPRなんてものはないのだ。
  24. 150ヒット。ローンチの1週間前にGoogleで"truemors"を検索すると、150件ヒットした。
  25. 315,000ヒット。ローンチの11日後にGoogleで"truemors"を検索すると、315,000件ヒットした。どうしたらそんなことになるのか分らないが、文句を言うつもりは 毛頭ない。
  26. 4つ。Truemorsのローンチで学んだ教訓が4つある。
  1.  本当にまずいPRというのはない。
  2.  今日では12,000ドルあれば相当なことができる。
  3.  何千マイルも離れたチームと仕事することが可能だ。
  4.  今は起業家にとてもいい時代だ。


最近Meet Henryというプレゼンテーションを見てすごく気に入っていたので、制作元のEthos3 Communicationsに頼んで、今回の経験を元にしたプレゼンテーションを作る手助けをしてもらった。次のスライドはこの文章に合わせて見られるようになっている。


広がるTruemorsの世界の一部として、Truemorsアドオンを2つ紹介しよう。


まとめ。Truemorsが成功するにせよしないにせよ、私はすごくたくさんのことを学ぶことができた。確かなことは、起業家がこの類の会社を立ち上げるのに100万ドルと4人のプログラマと6ヶ月の期間が必要だと言うわけにはいかないということだ。今日においては、WordPressMySQLSalesforce プラットフォームのような製品を使うことによって、物事をずっと安上がりで簡単にやることができるのだ。

そんなにたくさんのお金や時間がなくとも、何かを世に出してうまくいくか試してみることができる。うまくいけば、万歳。プロトタイプをスケールアップしているときほど資金を募るのにいい時はない。実際資金を募る必要すらないかもしれない。ご参考までに言っておくと、アイデアだけで何もない時ほど資金を募るのにまずい時はない。いや、実際はもっと悪い時がある。最初の100万ドルを使い果たし、何もリリースしていなければユーザもいないというときだ。

自明の理(truism)で締めくくろう(これはtruemorの反対語だ)。自分のアイデアが成功するか知る方法は1つしかない。それは実際やってみることだ。だから何でもやってみよう。


PS  私たちはもっとtruemoristを求めている。Truemorsのアカウントを持つ人ということだ。誰でもボイスメール、テキストメッセージ、メール、Webページを使ってポストすることができるが、truemoristになると自分のtruemorを作成、編集、保存、削除できる。それからポストには名前が緑色で表示され、非truemoristのポストと区別がつくようになっている。

 

home  rss  

オリジナル: By the Numbers: How I built a Web 2.0, User-Generated Content, Citizen Journalism, Long-Tail, Social Media Site for $12,107.09
©2007 Guy Kawasaki. All Rights Reserved