気付くことの意図されていないものに気付くこと

Gerald M. Weinberg / 青木靖 訳
2006年5月4日 木曜

私たち作家が読者のために行うサービスの1つに、他の人たちが気付かないようなこと——特に気付くことを意図されていないもの——について指摘するというのがある。たとえば、今度紙で包まれた角砂糖を使う機会があったら、包み紙を注意して開けてみるといい。内側の折り込みに小さな裂け目があるのに気付くだろう。それは湿気で引き伸ばされたときに、もっと目立つ場所で裂け目ができるのを避けるためにある。

その裂け目はいつもそこにあったわけだが、それに気付くことはなかったと思う。作家というのはそうした隠された小さな傷の周りにストーリーやシーンを作り出すことができるものだ(できるかい?)。しかしそれに気付かなければ、それを使うこともできない。

だからどこででもやれるエクササイズを用意した。これは状況について興味深いことを見つけ出すのに役立つはずだ。

まわりに注意して、気付くことの意図されていないものを5つ見つけられるかやってみる。それを書き出して、少なくともそのうちの1つを含めてストーリーを書く。

以下に例を挙げよう(ストーリーは抜きで)。

レストランで見つけた、目を向けられることを意図していないもの。

  1. ウェートレスの名札に小さな字で「見習い」と書かれていた。私がそのことに触れると、それ以後彼女は、やることすべてについて能力のあるところを見せようとすごく骨折っていた。
  2. 飲み物は別料金だという表示があるが、小さな文字で目立たないように書かれており、飾りの鉢植えのプラスチックの葉っぱで半分隠されていた。
  3. 給仕が誰も見ていないと思って、こぼしたひよこ豆をビュッフェのボウルに戻していた。
  4. スープカウンターにいた客は、私の歳を示す兆候に気付かずに、自分の方が年上のはずだと言った。彼は53で、私は72だった。しかし私が自分の歳を言うと、彼は深く刻まれた私の皺に気付いて、私の言葉を信じた。私は彼が気付くのに気付いた。
  5. ビュッフェには3種類の「バター」があったが、そのうちの1つ——一番手の届きにくいところにあった——だけが本物のバターであることが、気付かないような仕方で記されていた。

自分でも試してみて、結果を知らせてほしい。

 

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オリジナル: Noticing What Was Not Meant To Be Noticed