変? それとも違うだけ? (TED Talks)

Derek Sivers / 青木靖 訳
2009年11月

アメリカで道に立っていたとしましょう。そこへ日本人がやってきて質問をします。

「すいません。この区画は何という名前ですか?」

「何? ああ、こっちがオーク通りで、あっちがエルム通り。これが26番で、向こうが27番通りです」

「それで、この区画の名前は?」

「区画に名前なんてないですよ。名前は道についていて、道の間にある名前のない部分が区画です」

彼は頭を混乱させ、がっかりしながら歩き去るでしょう。

今度は逆に日本のどこかの道に立っていて、誰か近くにいる人に聞いたとしましょう。

「すいません。この道は何という名前でしょう?」

「はい、向こうが17番地で、こっちが16番地です」

「じゃなくて、この道の名前を知りたいんですが?」

「道の名前なんてありませんよ。名前は区画についています。Google Mapsを見てください。これが14番、15番、16番、17番、18番、19番地です。区画にはみんな名前があります。区画の間の名前のない部分が道です」

「それだと家の住所はどうやってわかるんですか?」と聞くと、

「簡単ですよ。ここが8丁目でしょ。その17番地の、1号の家です」

「少し歩き回ってみたけど、家の番地が順番になってませんでしたよ」

「そりゃそうです。建てられた順に番号は付きますから。この区画で最初に建った家が1号になります。2番目に建てられたのが2号、3番目の家が3号。簡単です。わかりきったことでしょう?」

これだから私は時々地球の反対側を訪れるのが好きなんです。自分たちが意識せずに仮定していることや、その逆だって正しいものでありうることに気付かせてくれます。

たとえば中国の医者は、人を健康に保つことが仕事と考えられています。だから健康なら医者にお金を払います。病気になったらお金は取られません。医者は病気でなく健康で儲けるんです。(拍手)

私たちは音楽で「1」をダウンビート、音楽の初めに使います。1 - 2 - 3 - 4。しかし西アフリカの音楽では「1」はフレーズの終わりです。文章の終わりのピリオドのようなものです。フレーズの中ではなく、 区切りとして聞くのです。2 - 3 - 4 - 1。

(南半球が上になっている世界地図を示し) そしてこれもまた正確な地図なのです。(笑)

「何であれ正しいことの逆はまた正しい」という言葉がインドにはあります。だからTEDやその他の場所で素晴らしいアイデアを耳にしたら、思い出してください。その逆もまた正しいかもしれないと。ドウモ アリガトウ ゴザイマシタ。

 

[これはTED公式日本語訳です。翻訳をレビューしていただいた新保貴大氏に感謝します。]

home  rss  

オリジナル:  Derek Sivers: Weird, or just different?